ラジアスエンドミルとは?ボールエンドミルとの違いや改造について解説します! service

ラジアスエンドミルとは?ボールエンドミルとの違いや改造について解説します!

先端8mm4枚刃、ラジアスエンドミルの再研磨

切削加工の現場において、工具の選定は製品の品質と生産性を左右する重要な要素です。「コーナーに丸み(R)をつけたいが、ラジアスエンドミルとボールエンドミルのどちらを選ぶべきか?」「工具コストを少しでも削減したいが、良い方法はないか?」こうした課題を抱える技術者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、特に「ラジアスエンドミル」に焦点を当て、その基本的な役割から、混同されがちなボールエンドミルとの違い、そして工具コストを最適化する「再研磨」や「改造」についても、深く掘り下げて解説します。

ラジアスエンドミルとは

ラジアスエンドミルとは、一言で言えば「スクエアエンドミルのコーナー部にR(半径)を付けた工具」です。刃先が鋭角な90°であるスクエアエンドミルに対し、コーナーに丸みを持たせることで、切削時の衝撃が集中しやすい刃先コーナーの強度を劇的に向上させています。

一般的に、工具外径を、コーナー半径をとしたとき、の寸法が外径の半分未満(R \< d/2)のものが「ラジアスエンドミル」に分類されます。この小さなRが、工具の欠けを防ぎ、寿命を延ばすという大きな役割を果たしているのです。

ラジアスエンドミルとボールエンドミルの違い

ラジアスエンドミルとボールエンドミルは、どちらもR形状を持つため混同されやすいですが、その用途は全く異なります。違いは先端の「底刃形状」を見ればわかります。

ボールエンドミル

  • 形状: 底刃が完全な半球形状になっています。通常、工具外径を、先端半径をとすると、の関係が成り立ちます。特殊品としてといった大径Rの工具もありますが、先端が球形である点は共通です。
  • 用途: この球形の先端を活かし、5軸加工機などで滑らかな曲面を作ることができます。

 

 

ラジアスエンドミル

  • 形状: コーナーにRが付いているものの、底刃の基本はフラットです。(厳密には、刃がワークに不要に接触するのを防ぐための「逃げ角(すかし角)」として、-2°〜-4°程度のわずかな角度がついています。)
  • 用途: フラットな底刃による安定性と、コーナーRによる高剛性を両立しており、高負荷な重切削や、円弧状に切り込むヘリカル加工で加工面にRを付ける際などに活躍します。

 

比較項目 ラジアスエンドミル ボールエンドミル
底刃形状 フラット(コーナー部にR) 完全な半球
得意な加工 平面・側面加工、重切削、ヘリカル加工 自由曲面、傾斜面のならい加工
工具特性 高剛性・高耐久 あらゆる方向からのアプローチが可能

 

スクエアエンドミルの改造によるラジアスエンドミル

ラジアスエンドミルは、実はスクエアエンドミルから改造(転用)することが可能です。

急にコーナーRが必要な加工が発生した際、新品のラジアスエンドミルを急いで購入するのではなく、手持ちの使っていないスクエアエンドミルを改造すれば、工具として再生できます。

さらにコストを追求するなら、新品のノンコート・スクエアエンドミルを安価に購入し、「ラジアス改造」と「最適なコーティング」を専門業者に依頼する方法も非常に有効です。これにより、新品のラジアスエンドミルを購入するよりも大幅にコストを抑えることが可能です。

改造における最重要ポイント

ラジアスへの改造は、単純にコーナーへRを付けるだけでは不十分です。それでは底刃との間に位置ずれが生じ、正確な加工は望めません。そのため、必ず「底刃の再研磨」と「コーナーR加工」はワンセットで行う必要があります。これにより、底刃とコーナーRの芯が一致し、高精度なラジアスエンドミルとして再生されます。

また、使用済みの摩耗したスクエアエンドミルを改造する場合は、当然ながら外周刃の再研磨も必要です。外周刃を研磨して工具径がわずかに小さくなったとしても、R形状はその新しい径に合わせて正確に生成されるため、問題なく改造可能です。

改造に適さないスクエアエンドミルとは?

全てのスクエアエンドミルが改造に適しているわけではありません。依頼する前に、以下の条件を確認しましょう。

  • 加工が不可となる可能性が高いケース

    • 強すぎるねじれ角: ねじれ角が概ね50°を超えるような強ねじれの場合、Rを付けるための研削砥石が隣の刃に干渉してしまい、加工できないことがあります。
    • 短い刃長: 付けたいRの寸法よりも刃長が短い場合、物理的に加工できません。
    • 小径・多刃・強ねじれの組み合わせ: 例えば「φ6未満」で「6枚刃」「ねじれ角45°」のように、刃と刃の間のスペース(溝)が極端に狭い場合も、砥石の干渉により加工が困難です。
  • 加工が可能なケース

    • 不等リード: 刃の間隔が不均等な不等リードエンドミルでも、専用の設備とプログラムがあれば、問題なく高精度なR付けが可能です。

ラジアスエンドミルの再研磨

ラジアスエンドミルは、再研磨による再使用が可能です。以下の兆候が見られたら再研磨を検討しましょう。

再研磨のタイミング

  • 切削面の光沢が失われた
  • 加工精度が低下した
  • 異常音が発生した
  • 外周刃の摩耗幅が0.1~0.6mm以上
  • 切れ刃のカケやチッピング

また、使用済のエンドミルであれば、外周刃も再研磨をする必要があります。外周刃を研磨して径が小さくなってもRの刃付けは外周刃に合わせて生成するため径が変わっても可能です。

 

ラジアスエンドミルの再研磨事例

続いて、実際に当社が行ったラジアスエンドミルの再研磨事例をご紹介いたします。

 

【先端8mm4枚刃、ラジアスエンドミルの再研磨

先端8mm4枚刃、ラジアスエンドミルの再研磨

こちらは当社で手掛けた、先端8mm4枚刃、R3のラジアスエンドミルの再研磨事例の一つです。

外周刃のすくい面とコーナーRを含む底刃を研磨をしています。

>>詳しくはこちら!

 

 

ラジアスエンドミルについてお悩みの方は、再研磨.comにお任せください!

再研磨.comを運営する株式会社宮本製作所では、焼結金属と呼ばれる非常に硬い素材の加工を行っており、その過程で得た加工に関するノウハウを活かし、工具の再研磨を行っています。

再研磨.comでは、ドリルやエンドミル、リーマ等の切削工具を高い品質で再研磨するため、最新の加工設備や検査設備を取り揃えています。当社の再研磨は、職人が手作業で行う再研磨とは異なり、繰り返しの精度が高い、安定した品質での再研磨加工を可能としています。

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当社は、お客様が使用済みの工具を再研磨加工することで、刃物そのものの延命化を実現します。一般的に再研磨のコストは、工具購入コストの1/5~1/10程度です。そのため、お客様のコスト削減に大きく貢献することができます。

また、従来の切削では無理があった箇所を修正し、負荷を軽減することで、より多くの切削が可能となる刃物を提供します。ただ工具を再研磨するだけでなく、作業の効率化を図ることができる低コスト工具の提供を行っています。

さらには規格品よりも、高精度の加工をより少ない工程で加工を実現する工程集約工具への改造にも対応しています。

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このほかにも再研磨.comでは、ドリルやエンドミルの再研磨に関する情報発信を行っております。ぜひご覧ください!

 

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下記の動画では、ドリルとエンドミルの違いについて、アニメーション付きでわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください!

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切削加工会社である当社が、片手間で行う事業ではなく、工具研磨専用の加工設備・検査設備を取りそろえておこなっている、本気の再研磨です。そのため、どこにも負けない品質で工具の再研磨加工を行うことをお約束いたします。当社は、「再研磨の匠にしかできない技を、貴社の刃物に。」を合言葉に、一本一本の再研磨に魂を込め、お客様を“工具”からサポートいたします。

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