粉末ハイス工具とは?その特徴と向いている加工について解説!
粉末ハイスとは、「粉末高速度工具鋼(Powder High Speed Steel)」の略称で、切削加工などに使用される高性能工具材料のひとつです。従来の高速度鋼(いわゆるハイス)の中でも、特に製造方法において粉末冶金法を用いた材料を指します。この粉末冶金法により、微細で均質な金属組織が得られることから、従来の「溶解ハイス」と比較して、強度・耐摩耗性・靭性に優れた性質を持っています。
今回はそんな粉末ハイス鋼について、その特徴と他の工具鋼と比較したときに向いている加工、再研磨についても解説いたします!
粉末ハイスとは?
前述の通り、粉末ハイスとは「粉末高速度工具鋼(Powder High Speed Steel)」の略称で、切削加工などに使用される高性能工具材料のひとつです。従来の高速度鋼(いわゆるハイス)の中でも、特に製造方法において粉末冶金法を用いた材料を指します。
「粉末冶金法」とは、一度溶解した合金材料を高圧ガスや水で急冷して微細な粉末状にし、これを型に充填した後、高温・高圧下で焼結する方法です。粉末ハイスはこの工程により、金属組織内の結晶粒が非常に細かく均一化され、構造的なばらつきが大幅に抑えられます。その結果、粉末ハイスは高い耐摩耗性とじん性を兼ね備えた材料となり、より安定した切削性能が期待できます。また、焼結工程により複雑な形状にも対応しやすく、工具設計の自由度も高まります。
溶解ハイスとは?
一方で、溶解ハイスとは、電気炉で合金成分を溶解し、鋳型に流し込んで成形する「溶解鋳造法」で製造されるハイス鋼で、成形後は鍛造や圧延といった塑性加工を経て、工具素材として加工されます。この製法は量産性に優れており、製造コストが抑えられるため、比較的安価に供給できる点が特徴です。
ただし、冷却・凝固過程で結晶粒径が粗くなりやすく、また成分の偏析や構造的なばらつきが発生しやすいというデメリットがあります。そのため、耐摩耗性やじん性(靭性)においては、粉末ハイスに劣る傾向があります。
粉末ハイス・溶解ハイス・超硬との比較
これらの製法・結晶構造の違いにより、粉末ハイスと溶解ハイスは工具性能に違いがあります。
溶解ハイスと粉末ハイスのもっとも大きな違いは、内部組織の緻密さと均質性です。溶解ハイスでは組織の粗さやばらつきが残るため、加工中に刃先の欠けや摩耗が進行しやすく、工具寿命にも影響します。
一方、粉末ハイスは均一で微細な結晶組織を持つため、工具形状の安定性が高く、切削時の熱や応力にも強い傾向があります。これにより、長時間の連続使用や高負荷な加工条件下でも、性能を維持しやすいのが大きな強みです。
ここまでの内容を踏まえつつ、溶解ハイスと粉末ハイス、そして超硬の工具を比較してみました。
溶解ハイス | 粉末ハイス | 超硬 | |
加工精度 | △ | 〇 | ◎ |
工具寿命 | △ | 〇 | ◎(※) |
コスト | ◎ | 〇 | △ |
※但し、欠けやすい
被削材や使用状況によって多少の違いはありますが上記のような結果になりました。
粉末ハイスが加工精度・工具寿命の点で溶解ハイスより優れているものの、コスト面では粉末ハイスより溶解ハイスの方が優れています。一方で、粉末ハイスは超硬と比較したときには、粉末ハイスの方が安価です。
溶解ハイスは安価に入手できる反面、結晶粒の粗さや偏析により工具寿命や切削精度にバラつきが生じやすいという弱点があります超硬は非常に硬く摩耗性が良いため高寿命で且つ高精度加工に向いています。しかしながら、被削材や加工条件によっては刃先が硬いために衝撃等で欠けやすい、といった不向きなケースもあります。その際は、加工条件や刃先形状を見直したりする等の追加対応が必要となりますので注意が必要です。このようなお困り事があれば、当社再研磨では刃先改良やコーティング種の見直し等ご提案させていただきますのでお声掛けください。また、超硬は初期コストが高いため、コスト重視の現場には向かないケースもあります。
そのため、粉末ハイスは超硬と溶解ハイスの間を取るような性能で、ある程度の精度と寿命を確保しつつ、コストパフォーマンスも意識した選定が可能です。
これらの性能を踏まえ、粉末ハイスは高精度・耐摩耗性が求められるものの、加工コストを抑えたいときに向いている工具であると言えます。
>>【必見】超硬工具とハイス工具を使い分けるための9つのポイント
>>超硬エンドミルとは?選定ポイントから再研磨まで紹介します
粉末ハイス工具の再研磨
再研磨. comでは粉末ハイス工具の再研磨が可能です。
粉末ハイスは溶解ハイスより強度があり倒れや振れが少ない分、リップハイトなどが抑えられ刃具の形状精度もよく仕上がる傾向がございます。
前述の通り、粉末ハイス工具は加工精度と耐摩耗性(寿命)のバランスが必要で且つ加工コストを抑えたいときに向いています。しかし、それは超硬と比較したときのことで溶解ハイスと比較すると高価です。しかしながら、1本の工具の再研磨を繰り返し行うことで工具を長く使用できるようにし、総コストとして溶解ハイスよりメリットを出すことも可能となります。
>>値上げラッシュ!インフレ時代における切削工具の値上げ事情と、再研磨によるコストメリットについて解説!
寿命がきた粉末ハイス工具を、捨てる&貯めるのはもったいない!
粉末ハイス製の工具は、非常に特殊かつ材料単価が高い工具です。一方、多くの企業が工具は使い捨てであると考えてしまって、廃棄してしまうもしくは棚にしまったまま…といったことが起きています。
工具を使い捨てと勘違いしたまま廃棄してしまうと、工具が摩耗する度に新しい工具を購入しなければならず、工具の購入コストがかさんでしまいます。また、もったいないと思ったまま使用済み工具を棚にしまったままにしていると、工場内で無駄なスペースをとってしまい、在庫管理面でコストがかさんでしまいます。
当社では、超硬やハイス等、様々なドリルの再研磨を行っております。その際に気になるのが、ドリルがどこまで使えるのか?というドリルの寿命についてだと思います。実際当社でも多くご相談をいただいておりますので、こちらの動画でわかりやすく解説しております!
再研磨.comが実際に行った、ハイス工具の再研磨事例
それでは、実際に当社が行ったハイス工具の再研磨事例のご紹介です!
先端10mmハイス鋼ツイストドリルの再研磨
こちらは当社で手掛けた、ハイスドリルの再研磨事例の一つです。Xシンニング、先端角140度、ホーニング無しで再研磨しています。
ハイスラフィングエンドミルの再研磨
こちらは当社で手掛けた、ラフィングエンドミルの再研磨事例の一つです。こちらのエンドミルは外周カケが大きく、その分再研磨で落とす必要がありました。
ハイス鋼カウンターシンクの再研磨
こちらは当社で手掛けた、ハイス鋼カウンターシンクの再研磨事例の一つです。φ8、3枚刃で、C面の逃げ面のみを再研磨しております。
ハイス工具の再研磨は、再研磨.comにお任せください!
再研磨.comを運営する株式会社宮本製作所では、焼結金属と呼ばれる非常に硬い素材の加工を行っており、その過程で得た加工に関するノウハウを活かし、工具の再研磨を行っています。
再研磨.comでは、ドリルやエンドミル、リーマ等の切削工具を高い品質で再研磨するため、最新の加工設備や検査設備を取り揃えています。当社の再研磨は、職人が手作業で行う再研磨とは異なり、繰り返しの精度が高い、安定した品質での再研磨加工を可能としています。
当社は、お客様が使用済みの工具を再研磨加工することで、刃物そのものの延命化を実現します。一般的に再研磨のコストは、工具購入コストの1/5~1/10程度です。そのため、お客様のコスト削減に大きく貢献することができます。
また、従来の切削では無理があった箇所を修正し、負荷を軽減することで、より多くの切削が可能となる刃物を提供します。ただ工具を再研磨するだけでなく、作業の効率化を図ることができる低コスト工具の提供を行っています。
さらには規格品よりも、高精度の加工をより少ない工程で加工を実現する工程集約工具への改造にも対応しています。
【再研磨の匠にしかできない技を、貴社の刃物に】


切削加工会社である当社が、片手間で行う事業ではなく、工具研磨専用の加工設備・検査設備を取りそろえておこなっている、本気の再研磨です。そのため、どこにも負けない品質で工具の再研磨加工を行うことをお約束いたします。当社は、「再研磨の匠にしかできない技を、貴社の刃物に。」を合言葉に、一本一本の再研磨に魂を込め、お客様を“工具”からサポートいたします。
ドリルやエンドミル、リーマなどの切削工具の再研磨を検討されている方は、まずは再研磨.comへお気軽にご相談ください。